背景とビジョン
背景と拠点ビジョン
我が国は、人口減少・少子高齢化の最先進国であり、今後生活習慣病の増加、医薬品需要の増加といった社会課題が深刻化しています。こうした中、人生100年を健康かつ幸福に過ごせる社会を創り出すことは、今後の日本、そして世界の在り方を問う、非常に重要な取り組みであるといえます。
本拠点では全世代の国民のWell-being(身体的、精神的、社会的に良好で幸福な状態)を重要視し、そのために必要な科学技術・産業形態を、つくばに集積したあらゆる英知を結集して創出することを目指しています。特に、『医・食・環境』から国民のWell-beingをサポートする基盤技術や、それに付随する産業を創出することにより、少子高齢化問題に代表される社会構造を大きく変え得る課題や、新興感染症・自然災害等の災禍に対する不安を取り除き、全世代の国民がWell-beingな社会を創り出すことを目標としています。
本拠点が構想する将来の社会像は、『デジタルバイオ技術の応用により、ゲノムや食生活、社会的環境といった人々の健康に影響するマルチモーダルな情報を定量的に理解し、その成果に基づいて、国民のWell-beingをサポートするデジタルバイオエコノミー社会』であり、この未来社会を実現する過程で創出されたイノベーションや産学官共創体制、デジタルバイオファーストの人材を基盤として、筑波研究学園都市を国際的なバイオコミュニティハブとすることを目指します。
つくばエリアの声から拠点ビジョンへ
つくば地域は、つくば国際戦略特区としてつくばサイエンスシティーを目指し、筑波大学が中心となって「つくばライフサイエンス推進協議会(TLSK)」という大学、自治体、研究機関の他、60社以上の企業を含むバイオコンソーシアムを構築してきました。またデジタルサイエンス分野では、「つくばスマートシティ協議会」を立ち上げ、Society 5.0の実証拠点を目指しています。
本拠点ビジョンの策定にあたり、このような組織に所属する幅広い領域の企業・機関との意見交換を行い、「高度研究大学の周辺に企業や投資家が集積し、民間研究資金・戦略的投資等を活用したスタートアップ・エコシステムの形成が必要である」という自治体からの意見、「医薬品等の開発促進には、ヒト生体試料のより有効利用を促進する仕組み」・「デジタルとバイオの融合によるデジタルバイオデータを駆使した技術開発」等が重要であるという企業からの意見、「普段自分たちがどのようにすれば病気にならないのか、日常からできる根拠のある対応方法が知りたい」・「子どもが健康に過ごせる社会を」という市民から意見等、多様な声を受け、拠点ビジョンの「全世代の国民のWell-being」という表現に反映されました。